熱レンズ効果対策製品

熱レンズ効果抑制保護ガラス

 

 

熱レンズ効果とは?
 

最近、熱レンズ効果てよく聞くけどそれって何なの?

 

熱により光学部品の形状や屈折率が変わり、それが原因で起こる問題を言います。

 

熱レンズ効果が起きると具体的に何が起きるの?

 

2つの問題があります。

一つはビームウェストの位置が変わります。それにより加工しているところでのビームサイズが変わってしまいます。

もう一つはビームプロファイルが変わります。強度分布が変わるので加工に影響してしまいます。

 

なるほどね。その問題は回避しないとね

 

以下をしっかり読んで対策していただければ熱レンズ効果も怖くないです!

高出力のレーザを使った加工においては様々な問題が発生します。その一つとして熱レンズ効果があります。

 

レーザ光が吸収され物質が温められると、温められた部分の密度、屈折率が変化します。
透過型の光学部品の場合、レーザ光の波長に最適な材質にARコート(反射防止コート)が施され、ほとんどの光は透過しますが、一部の光は吸収され熱に変わってしまいます。この熱によりレーザの照射されたところとその周辺に屈折率差がうまれ、それが原因で光学部品がレンズ作用を発揮します。これを熱レンズ効果と言います。

 

熱レンズ効果の加工への影響

熱レンズ効果が起きてしまうと、焦点位置がレンズ側に移動するため、加工点ではデフォーカスされたビームとなってしまいます。それだけではなく、ビームプロファイルも変化してしまいます。
加工点でのビーム径、強度分布が変わってしまうため、加工品質が劣化してしまうことが考えられます。安定した加工を行うためには熱レンズ効果対策を十分に行う必要があります。

 

 

熱レンズ効果の測定方法
 

わが社の装置も熱レンズ効果の問題が起きてるのかなぁ?

どうやって調べたらいいの?

 

 

 

熱レンズ効果の対策
 

高出力レーザを使うなら合成石英だよね

 

熱膨張が小さいので破損のリスクは少ないですよね。

でも、熱レンズ効果で考えたときはベストな材料とは言えないですね。

 

ちゃんと冷却すればいいんじゃないの?

 

冷却は重要ですが、大きな光学部品の周りを冷却しても、熱伝導率が悪い石英では、周りと中心の温度差ができやすくなると思われます。

温度差は、屈折率差、形状変化量差に影響しますので、熱レンズ効果が大きくなってしまいます。

1umの高出力レーザ(YAGレーザ、ファイバレーザ)を使用する場合、合成石英の光学部品を使用するのが一般的です。
これは合成石英がこの波長を透過しやすく、熱レンズ効果の原因となるレーザ光の吸収が起こりにくいからです。
しかしながら、合成石英は屈折率温度計数(dn/dT)が7.5×10^-6と非常に大きい(BK7の屈折率温度計数の5倍)材質でもあります。そのため、コンタミ等の影響で吸収が発生してしまうと、その屈折率は大きく変化し、結果として熱レンズ効果が起きてしまいます。

 

じゃあ、熱レンズ効果を抑制するために、合成石英じゃない材料を使うってこと?

 

熱レンズ効果を抑制するためにはいくつかの方法があります。

以下にその方法を紹介しますね

熱レンズ効果を抑制するため、当社では以下の3つの方法を推奨しています。

 

高純度石英+高品質研磨&コーティング

石英の中でも純度の高いも(コーニングのC7979など)のを使い、高い品質の研磨、研磨残差の除去、高い品質のコーティングを施すことで、吸収が極めて小さな光学部品を作ることができます。

 

熱伝導率の高い材質を使う

合成石英は熱伝導率が悪い材料です。熱伝導率が低いと光学部品上に温度分布ができやすくなります。温度分布ができると屈折率等にも分布ができますので熱レンズ効果が起きてしまいます。
ダイヤモンドやサファイヤのような熱伝導率の高い材質を使うことで、熱分布を小さくすることができます。

 

dn/dTとCTEの良い組み合わせを選択

熱による屈折率変化dn/dTによって起きる熱レンズ効果を、熱膨張CTEによって起きる熱レンズ効果でキャンセルするという方法です。光学材料の中にはこれがベストな組み合わせで、常にdn/dTで起こる熱レンズ効果をCTEで起こる熱レンズ効果でキャンセルするという材料があります。

 

 

なるほどね、なんか解決できそうな気がしてきた

 

では以下にそれぞれの製品をご紹介しますね。

カスタム製作も可能ですので、そこは弊社の営業マンに聞いてくださいね。

 

 

当社がご提案する熱レンズ効果抑制製品

高出力CWレーザと一緒に使用する光学部品は、そのダメージや熱レンズ効果などの問題を避けるため高品質な材料から高い加工技術で製造する必要があります。適切な材料を選択しても、不適切な材料処理技術が使用されては意味がありませんし、その逆も同じです。光学部品の製造は基板の成形、研削、研磨といういくつかの段階に分けることができます。この各段階で応力と歪み、研磨残留物をいかに少なくできるかが重要です。本保護ガラスは、高純度の合成石英を使い、特殊な加工技術により研磨残留物を最小化し、高品質コーティングを施したもので、高出力CWレーザの保護ガラスとして最適です。

 

超低吸収保護ガラス仕様
材料 C7980、C7979、または同等品
透過波面歪み λ/10 @ 632.8nm
面品質 10-5
平行度 <10 arc秒
ARコート反射率 <0.1%
吸収 <1ppm (0.00001%)

ダイヤモンドやサファイヤは合成石英と比較して、熱伝導率が30倍近く高く、屈折率が高いという特徴を持った材料です。

熱レンズ効果は光学部品がレーザ光を吸収した際に生じる光学部品上の温度分布により発生しますが、ダイヤモンドやサファイヤ光学部品の場合は熱伝導率が高いため、合成石英と比較して熱レンズ効果が起きにくいという性質があります。また、屈折率が高いので、同じレンズを製作しようとしたときに、合成石英よりも大きな曲率半径のレンズを製作できます。そのため球面収差を抑えることができ、またレンズ自体を薄く作ることができるので熱レンズ効果抑制にも良い影響が出ます。

当社ではダイヤモンドで製作した保護ガラス、サファイヤで製作した保護ガラス、レンズ、QBH/QDコネクタ付きのサファイヤコリメータをご提供しています。

熱レンズ効果は、光学部品が発熱することによる屈折率変化と形状変化が原因で起こります。

この光学部品は屈折率変化で起こる熱レンズ効果と形状変化で起こる熱レンズ効果が常にキャンセルしあう関係にある材料を使うことで熱レンズ効果を抑制します。

高出力レーザの場合と、ミドルクラスの出力(目安は500W~1kWです。ご相談ください)でそれぞれ異なる材料でのご提案をさせていただきます。

 

 

仕様

ミドルクラス出力の製品です。高出力タイプはご相談ください。

 

型式 直径(mm) 厚さ(mm) 波長(nm)

aThermoXX_25/3_1064

24.9

3

1020 - 1100

aThermoXX_30/5_1064

29.9

5

1020 - 1100

aThermoXX_32/3_1064

31.9

3

1020 - 1100

aThermoXX_32/6.35_1064

31.9

6.35

1020 - 1100

aThermoXX_38/2_1064

37.9

2

1020 - 1100

aThermoXX_38/5_1064

37.9

5

1020 - 1100

aThermoXX_38/9.8_1064

37.9

9.8

1020 - 1100

aThermoXX_50.8/3_1064

50.8

3

1020 - 1100

aThermoXX_95/3_1064

94.8

3

1020 - 1100