マルチフォーカス光学系

マルチフォーカスレンズ

 

 

マルチフォーカスレンズとは

光軸方向に複数の集光スポットを同時に生成するレンズです。
屈折型の熱レンズ効果抑制光学素子で構成されており、熱レンズ効果が起きにくく、また透過率が高いというのが特徴です。
この光学部品には、調整機構がありスポットの数やパワーバランスの調整が可能です。

 

へえ、屈折型の光学部品でマルチフォーカスができるんだね。

DoEでやるもんだと思ってた。

 

特殊な光学部品で作られていますので、屈折光学系でこれを実現しています。

 

でも、DoEでマルチフォーカスするのと何が違うの?

 

DoEの場合、マルチモードでは効率が悪くなってしまいます。

屈折光学系の場合はシングルモードでもマルチモードでも対応可能です。

いずれにしても、屈折光学系はロスが小さいのでハイパワーのアプリケーションではとても有効ですよ。

 

調整可能って書いてるけど、マルチフォーカスを可変できるってこと?

 

この製品は光軸方向に4点分岐します。それぞれをA、B、C、Dとした場合、調整リングを回すことで、A-D、B-C、A-B-C-Dのように分岐数を変えることができます。

詳しくは以下の図をご覧ください。

左)2分岐(B-C)、中)4分岐(A-B-C-D)、右)2分岐(A-D)

 

焦点深度の拡張

以下のデータは集光しているビームのレイリー散乱光を横からカメラで撮影したものです。左は一般的な集光ビーム(1つのフォーカス)、右はマルチフォーカス光学系を使い、4つのフォーカスを作ったものです。長手方向に均一な集光ができていることがわかります。

 

長手方向に強度分布が均一だからプロセスウインドウが広がるね!

 

 

製品情報

集光レンズとして使用できるものと、コリメータとして使用できるものがあります。
コリメートタイプを使用した場合、マルチフォーカス光学系から出射したビームを一般的な集光レンズで集光すると複数の焦点が得られます。

 

集光レンズタイプマルチフォーカス光学系

以下図のように集光レンズとしてご利用いただけます。

入射したビームを最大4つに分岐します。調整リングを回転させることで分岐パターンを変えることができます。

 

 

集光レンズタイプマルチフォーカス仕様
共通仕様

クリアアパーチャ

Φ48mm

入射ビーム許容角度

±1度

推奨最大パワー※1

6kW CW

マウント

M58 x1(入出射)

冷却

水冷 6-1/8フィッティング

直径

90mm

長さ

75mm

 

個別仕様 foXXus_3.5-11.1 F200_NIR foXXus_3.5-11.1 F200_1064

foXXus_3.5-17.4 F250_NIR

波長(ARコートの波長)

920-1100nm

1020-1100nm

1020-1100nm

ΔF(大気中)

2焦点:3.5mmまたは11.1mm

2焦点:5.4mmまたは17.4mm

4焦点:3.8 - 3.5 - 3.8mm

4焦点:5.7 - 5.4 - 6.3mm

焦点距離

約202mm(197-208.5mm)

約252mm(243.5-261.6mm)

ワーキングディスタンス

158.5-169.6mm

205.1-222.5mm

 

 

 

ΔFってなんのパラメータ?

 

ΔFは生成される集光スポット間の距離です。マルチフォーカスレンズの焦点距離により異なるスポット間距離となります。

コリメータタイプマルチフォーカス光学系

以下図のようにコリメータとしてご利用いただけます。コネクタはQBH/QDいずれも対応可能です。

入射したビームを最大4つに分岐します。調整リングを回転させることで分岐パターンを変えることができます。

 

 

 

コリメータタイプマルチフォーカス仕様
共通仕様

波長(ARコートの波長)

920-1100nm

入射ビーム許容角度

±1度

推奨最大パワー※1

6kW CW

冷却

水冷 6-1/8フィッティング

 

個別仕様 foXXus_3.5-11.1 F200_NIR

foXXus_2-6 F100_NIR

焦点距離

約202mm(197-208.5mm)

約101.5mm(98-104.9mm)

ΔF(大気中)※2

2焦点:3.5mmまたは11.1mm

2焦点:2mmまたは6mm

4焦点:3.8 - 3.5 - 3.8mm

4焦点:2 -?2 - 2mm

クリアアパチャ

48mm

29mm

マウント

入射側: QBHコネクタ※3

出射側:M58×1 外ネジ

入射側: QBHコネクタ※3

出射側:M47×0.75 外ネジ

直径

90mm

67mm

長さ

288mm※4

178mm※4

※1: 推奨値です。更に高出力での使用ができるものもございます。

 

 

 

集光レンズタイプはΔFが固定だったけど、コリメータタイプはどうなるの?

 

コリメータタイプの場合、ΔFは各機種が持つ固有の値と、使用する集光レンズの焦点距離で決まります。

例えばfoXXus_3.5_11.1_F200_NIRの場合は、焦点距離202mmの集光レンズを使用した場合、各スポット間の距離は、3.8mm, 3.5mm, 3.8mmです。

 

でも必ずしもf=202mmの集光レンズを使うとは限らないよね。

別のレンズを使った場合はどうやって計算すればいいの?

 

基準となる焦点距離、基準となるΔFは仕様に書かれている通りです。

もし、焦点距離を202mmではなく、半分の101mmにした場合、スポット間距離は、仕様書にある基準値の(101÷202)^2=1/4になります。

焦点距離比率の2乗で効いてくると覚えてください。